イヤモニ(インイヤーモニター)とは?
イヤモニ(インイヤーモニター)というものを皆さんはご存じでしょうか?
イヤモニとは、歌手やミュージシャンがよく耳につけているイヤホンのような機器のことなのですが、そこからは一体どんな音が流れ、どんな効果があるのでしょうか。
今回はイヤモニについて解説したいと思います。
もくじ
イヤモニを使う意味って?
イヤモニとは、カナル式イヤホンタイプのモニターのことで、In-Ear Monitor = IEMと略されるときもあります。
いわゆる返しと呼ばれる音が流れており、客席のメインスピーカーから出ている音とは別で、自分の声や他の楽器の音などそれぞれの演奏者に最適なバランスで調整された音です。
主にドームクラスやフェスのライブステージで、歌手やミュージシャンが装着しています。
イヤモニのイヤホン部は、カスタムIEMといって、ヘッド部を耳の大きさや用途合わせてカスタムできるタイプもあります。
参考:カスタムインイヤーモニター(イヤモニ)一覧【e☆イヤホン】
今ではメジャーアーティストの間で当たり前のように使用されていますが、実際に普及に至ったのは、2000年代に入ってからです。
従来のモニターシステムのデメリット
一般的にライブ会場にある音響スピーカーは会場の観客に音を届けるように客席に向いて設置されています。
そのため、ステージ上にいるアーティストはその音をはっきりと聞き取れません。
それを解消するために、アーティスト用には、ステージ足下にあるモニタースピーカー(返しスピーカー、ころがしスピーカー)から、中音と呼ばれるそれぞれの楽器の音や自分の声が聞こえるようになっています。
モニタースピーカーの音は、会場の環境に左右されやすく、理想的な環境を実現するためには、リハーサルなどで繰り返し時間をかけて音を調整することがほとんどです。
小さいライブ会場(ライブハウス)などでは、あまり問題とされないのですが、大きい会場でステージも広い場合は、モニタースピーカーから少しでも耳を離すと音が聞き取れなくなってしまい、正確な音程や演奏をキープすることが困難な状況も珍しくありませんでした。
かといって音量を大きくしてしまうと、2〜3時間ものステージパフォーマンスをこなすアーティストにとっては、耳への負担が多くなってしまい悪影響を与えてしまう原因になります。
これが従来のステージモニタースピーカーが抱えるデメリットです。
- 大きい会場での反響などによるモニター音の聞き取りづらさ → 音に明瞭感がなく、音程が聞き取れない
- 大音量で鳴るモニタースピーカー → アーティストの聴力に悪影響を与えてしまう
これらの問題を解決するために、開発されたのがイヤモニなのです。
イヤモニを使用するメリット
イヤモニを使用する最大のメリットは、ステージを自由に動き回れることです。
イヤモニは基本的にワイヤレス受信機とセットになっており、耳に装着しながら移動できます。
立ち位置がどこでも正確な音がモニターできるため、より高度なパフォーマンスが実現できます。
これはダンスをしながら歌ったり、ステージ上でたくさん移動したりするアーティストにとっては一番のメリットなのではないでしょうか。
また、イヤモニは耳に装着することで、周辺からのノイズを遮断し、必要な音だけをモニターできるため、最小限の音量で音を聞くことが可能です。
結果、実際にスピーカーから大音量で音を聞く機会が減るため、耳への負担が軽減されます。
その他にも、音が客席に聞こえることがないため、本番中ステージにいるパフォーマーに対して、スタッフなどから伝達する際にも活用できます。
- ステージを自由に動き回れる
- 耳への負担が少ない
- モニター以外の音も聞ける(スタッフの声などもモニターできる)
イヤモニは「シュア掛け」するのが一般的
イヤホンを装着する際に、イヤホンコードが前に出ている状態だと垂れ下がってしまい、動いて外れやすく、見た目的にも不格好な状態です。
これらを解消するために、コードを耳の後ろに回して掛けるという方法をとれば、ストレスのない状態で装着強度を高くキープできます。
これを一般的に「シュア掛け」と呼ばれています。
シュア掛けをする際、イヤホンケーブルは背中の衣服の中に隠せば目立たなくなります。
また、ケーブルを耳の後ろに回すので、ケーブルをさわったときに聞こえるタッチノイズが少ないというメリットもあります。
シュア掛けの由来
ちなみにシュア掛けとは、イヤモニの代表的なメーカー、SHUREの製品の掛け方に由来しています。
SHUREは本格的なステージ用イヤモニから比較的手の出しやすいものまで幅広くラインナップしています。
また、SE215を始めとするデイリーユースが可能な製品も人気が高く、普段から高音質でしっかりと音楽を聴きたい方にもおすすめです。
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ワイヤレスインイヤーモニター・システムは、身近でも使用できるようになった
免許不要のB帯で使用できるSHURE(シュア)PSM300
インイヤーモニター・システムは、主にメジャーアーティストのみが使用できるプロ用のワイヤレス規格のA帯のみでしたが、近年、免許不要のB帯で使用できるタイプが音響機器メーカーSHUREより発売されて以来、身近でよりリーズナブルに使用できるようになりました。
最後に
まだまだ小さい会場への普及には至っておりませんが、メーカー各社で開発が進んでおり、近い将来にはもっと身近に体感できることが予測されます。
アーティストがストレスのない状態で、ベストなパフォーマンスをどんどん実現していけたらいいですね!
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
ウェブサイト:https://www.studiorag.com
Twitter:kin_kinya