なぜPAさんは「チェック・ワン・ツー」とマイクチェックするのか?
ライブ会場などで、PAさん(音響さん)がマイクチェックされている現場を見たことありませんか?
わたくしも過去PAエンジニアを行なっていたときに、息を吸うかのように行なっていました。
そのマイクチェック時に飛び交う「チェック・ワン・ツー」というフレーズについて、解説したいと思います。
もくじ
「チェック・ワン・ツー」には理由があった
スピーカーチューニングのため
ライブ会場では会場の違い・スピーカーの種類・マイクの種類などさまざまな環境によって音の鳴りが違います。
そこでPAさんは心地よく聞こえるサウンドになるよう、スピーカーやマイクの位置の調整やイコライジングなどの電気的なチューニングによって「低い音〜高い音まで均一に聞こえる状態か」「音量や音圧感」など全体の音を調整していきます。
お客さんに聞こえるメインスピーカーからステージで演奏する際に使うモニタースピーカーまで、実際にマイクで声を出してチェックします。
音響機器のイコライザー (Equalizer) とは、音声信号の周波数特性を変更する音響機器である。
イコライザーを使って、音声信号の特定の周波数帯域 (倍音成分や高調波成分あるいはノイズ成分)を強調したり、逆に減少させる事ができ、全体的な音質の補正(平均化)や改善(音像の明確化など)、あるいは積極的な音作りに使用される。
このスピーカーチューニングをしっかり行わないと心地よいサウンドはおろか、ハウリングなどのトラブルが発生してしまいます。
ライブ本番中だと会場のお客さんに不快な思いをさせてしまったり、演奏者にとっても演奏しにくい環境になります。
マイクにより得られた音声信号をアンプで増幅し、スピーカーから出力する際に起こる。
スピーカーからの出力が十分に大きい場合、マイクをスピーカーに近づけると振幅の大きな規則的な電気信号が得られる。
多くの場合その音は不快感を伴う中~高周波の「ピー」「キーン」といった音であるが、比較的低い「ブーン」「ボー」といった音の場合もある。
連続的な過大入出力が起こるため、場合によってはスピーカーが破損するなど、機材にダメージを与えることもある。
なぜ「チェック・ワン・ツー」なのか?
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「チェック・ワン・ツー」という言葉にはさまざまな発音が含まれているので、その言葉を使いスピーカーやマイクの音の調整をしていきます。
チェック = 硬い音と高音のチェック
周波数で言う2kHz〜4kHzあたりのハウリングポイントのチェックとして発音することが多いです。
「ピー」とハウリングする部分がないかをチェックします。
ワン = 低音と音量(大きい音)のチェック
「ワン」と発音する際に周波数で言う100Hz〜300Hzあたりのチェックです。
また音量が自然と突出するので、他の音より大きすぎないかのバランスをチェックします。
ツー(トゥー)= さらに高音と音量(小さい音)のチェック
4kHz〜8kHzあたりのハウリングポイントチェックとして発音することが多いです。
「キーン」とハウリングする部分がないか、小さい音でも会場に聞こえているかをチェックします。
「チェッ、チェッ」や「ツー、ツー」など特定のフレーズを繰り返し発声する場合もあります。
このように「チェック・ワン・ツー」は調整途中に無理しないで何度も発声できる言葉のため便利なのです。
あとは世界共通の英語ですのでオーディエンスがいる前では、スピーカーやマイクをチェック際にも「今マイクのチェックしています〜」とこれ一言で伝わりやすいのではないでしょうか。
人間の声はいつどこでも使える「サウンドチェック装置」なのですね!
他の言葉でチェックすることも
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調整方法は人それぞれで、他にも「チェック・ワン・ツー」に加えた「マイク・チェック・ワン・ツー」「チェック・ワン・ツー・スリー」や、「は・ひ・ふ・へ・ほ」の行を順番に言っていくパターンなどもあります。
ちなみに無線局が試験電波を出す際にはマイクテストで「本日は晴天なり」と言うそうですが、これはもともと英語の発声試験語の「It is fine today」から来ているようで、発音的にはあまり効果がないようです。
最後に
ルールが特別にあるわけではないのですが、長年「音」に関わってきたPAさんがあみ出した方法だと言うことが分かって頂けたのではないでしょうか。
音をたくさんの人に聞かせるお仕事をされているPAさんなら、無意識レベルでされていると思います。
ボーカリストの方でマイクチェックする際にぜひ覚えておきましょう。
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
ウェブサイト:https://www.studiorag.com
Twitter:kin_kinya