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漫才マイクの定番「サンパチマイク」実は超高性能コンデンサーマイクだった

皆さんテレビ番組などで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

今回はその「漫才マイク」の隠された魅力について説明したいと思います。

漫才で使われるあのマイクって?

漫才

http://www.irasutoya.com

漫才の際に必ずと言って良い程、ステージのど真ん中に立っているマイクは、SONYのコンデンサーマイクロホンC-38Bと言うマイクです。

古くからある劇場やホールなどでは必ずと言ってよい程に、ステージセンターの床下に設置してあり、演者の登場と共にマイクが自動で飛び出すように仕掛けてあったり、天井の吊りマイクで設置してあったりします。

ちなみにマイクスタンドは別売り品で、通常ストレートの高砂マイクスタンドと呼ばれるタイプがよくセットで使用されます。

国産初!50年間愛されてきたマイク「SONY C-38B」

C-38B

http://www.sony.jp/pro-audio/products/C-38B/image.html

「C-38B」は、SONYとNHK放送技術研究所によって1950年代に開発された国産初の真空管コンデンサーマイク「C-37A」の後継機種として、誕生しました。

発売から約50年経つ今でも変わらないビジュアル、マイクケーブルは内部に直接結線されているなどの、構造や特性はそのままで「サンパチ」の愛称で親しまれる現行品です。

今では漫才マイク、お笑いマイクとしてはおなじみのマイクになりました。

なぜ漫才で使われているかと言うと、固定マイクで単純にステージ上での音の収音の範囲が広いからです。

通常、歌うときによく使われるハンドマイクだと、片手が塞がれてしまったり体が動くと収音しにくくなり、かといってピンマイクだと舞台裏などでの装着の手間が発生します。

会場があたたまっているうちに、次々と飛び出し話談をする漫才師にとっては大変重宝されるアイテムなのです。

漫才だけではない!実は他にも使える超高性能!

実は、様々な収音に使えるマイクなのです。

通常のレコーディングマイクとしても使える!

最大入力音圧レベルは約140dBとなっているので、かなりの大音量でも歪み感なくクリアに収音できます。

実際音を聞いてみましょう。

以前スタジオラグでのドラム録音の際、C-38Bを2本使いステレオトップマイクとして収音した音源です。(京都の3ピースガールズバンド The Faxさんの音源)
↓ ↓ ↓

どうでしょうか?

古くから存在しているマイクでも、キレイに温かみある音で収音することが可能です。

このようにレコーディング現場でも実際使用されていることもあり、録音作業の際には戦力になります。

かの山下達郎氏の幻のデビューアルバム“シュガーベイブ=SONGS”は、プロデューサー且つ、エンジニアを務められた、大滝詠一大明神が、満遍なく、このc-38Bで録りきった、というエピソードを聞いたことがある。

僕の愛機シリーズ#4 SONY C-38B | Echofield

デイヴィッド・ベイカーはマイクを使いこなす名人であった。

決してブランド・イメージに頼ることなく、「良いものは良い」と、自信を持って使いこなしていた。

私は、その時、ソニーC-38Bを、サックスに対してオン・マイクで使いこなすと、どのマイクも拾い上げることの出来ない独特のブリブリのサウンドを創り出すことを知った。

追悼 デイヴィッド・ベイカー

野外録音などの外部でのレコーディングで使える!

コンデンサーマイクだと通常ファントム電源という、外部から供給する電気が音を収音する際に必要になります。

C-38Bは、ファントム電源駆動の他に、乾電池での駆動も可能なので、野外などの録音の際やファントム電源が搭載されていないレコーダーにつなぐ場合は重宝します。

指向性は単一(一方方向)の他に無指向(マイクの両方向から)としても広い範囲の音をクリアに収音できます。

吹奏楽やクラシックの録音にも

C-38Bの特性としてダイナミックレンジ(小さい音と大きい音の差)が116dB以上あるので、アンビエンスマイクとして収音することにも向いています。

微量な音から壮大な編成のオーケストラ録音の現場などで、ペア(2本)でステレオ収音で使用すると、大活躍するマイクです。

三味線や琴のレコーディングにも欠かせない存在

他のコンデンサーマイクに比べて、C-38Bの単一指向性はシャープになるので、狙っている楽器以外の他の楽器の音の被りが少なく収音できます。

日本音楽の伝統的な楽器編成で一つのブースでレコーディングする際にその特性は大いに発揮します。

三味線や琴など小音ながら、アタックのある音を収音する際も、歪み感やノイズ感なくクリアに収音できます。

最後に

長く愛されている理由を分かって頂けたでしょうか。

普段、身近で見る事が少ないマイクかもしれませんが、自分の楽器や歌を録音する際にはぜひオススメします。

これからも愛され続けるマイクですね!

sony_c38b

スペック

型式コンデンサー型
電源乾電池:DC9V(006P型乾電池1個使用)
外部電源DC48V
出力端子XLR-3-11Cタイプ(凹)
マイクケーブルφ5.8mm、2芯シールド、長さ6m
スタンドネジφ5.8mm、2芯シールド、長さ6m
外形寸法(幅×高さ×奥行)約78×214×46mm(突起部を除く)
質量約650g(ケーブル含まず)
外装仕上げ処理メッキ処理(サテンニッケル色)および焼付塗装(グレー)
周波数特性
指向特性全指向性/単一指向性切り換え
出力インピーダンス250Ω±20%、平衡型
正面感度-48±2dB(0dB=1V/Pa、1kHz)
信号対雑音比70dB以上(1kHz、1Pa)
最大入力音圧レベル140dB SPL(パッドOFF時)
ダイナミックレンジ116dB以上
許容動作温度0-+60℃
許容保存温度-20-+60℃
乾電池持続時間約200時間(ソニー乾電池S-006P(U)使用時、25℃にて)

著者プロフィール

スタジオラグへおこしやす編集長・ギタリスト

中尾きんや

地元京都です。

バンド活動、PA音響やレコーディングエンジニア、スタジオ店長などを経て、現在は「スタジオラグへおこしやす」の編集長を担当しながら、(株)ラグインターナショナルミュージックの執行役員として日々奮闘中。

最近またスタジオラグ伏見店の店長も兼任しております。

今までは関西を中心に音楽業界にどっぷりな毎日を送っていました。

そこでは楽しさもありつつ、時には苦悩もあり、正直日々試行錯誤な20代でした。

現在は30代半ばですが、若いスタッフとともにここで音楽情報を発信しています。

執筆してくれているのは、現役バンドマンにミュージシャン、全国の音楽講師のみなさん、音楽関係のお仕事されている方やスタジオスタッフに、普段は音楽を専門としない人までさまざまです。

音楽活動のヒント、そして音楽初心者の方へ向けて発信し、多くの世代に読んでいただけるメディアを目指します!

人気音楽雑誌YOUNG GUITARでも執筆経験あり。

趣味はギターと料理とネットサーフィンとか。

好きな音楽は「ギターがかっこいい曲」です。

将来の夢はプライベートスタジオを創ること。

Twitter:kin_kinya

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